「薬になりえる一般食品」へ注力
島根県 江津市
桜江町桑茶生産組合
健康産業新聞 2009年2月18日
農業法人(有)桜江町桑茶生産組合は、島根県山間地帯の桜江町で桑事業を開始して10年になる。県および島根大学等と連携しながら多くの付加価値をつけた桑製品を開発・販売してきた。現在、国産桑市場のトップシェアを誇るとともに産官学・農工商連携のモデル事業として全国に紹介されている。
桜江町桑茶生産組合は、10年前に「遊休桑園の再生」と「雇用創出」という地方活性化を目標とし桑事業を開始。有機JAS桑葉の栽培を中心に大麦 若葉、ケール、柿の葉、ハトムギなどの原料生産・加工・販売までを地域で一貫して行う「農業の6次産業化」を実践している。昨年、有機桑を活用した健康食 品の開発と販路拡大事業が、経済産業省「中小企業地域資源活用促進事業」に選ばれ、最近では産官学・農工商連携事業のモデルとして、全国の地域経済活性化 に参画、セミナーや農業指導等を行っている。
昨今の消費者における国内産・安全性志向の高まりやトレーサビリティの明確化が問われている中、有機商材への引き合いが急増している。同社の強み は、栽培から販売までの一貫した管理システムが確立していること。特に国内産有機でありながら安定した生産量の確保が可能なことや鮮度を落とさない徹底し た品質管理、そして「誰が、いつ、どの畑でどんな肥料を」まで明確化する徹底したトレース管理が挙げられる。特に品質への追求には妥協はない。現在3ヵ 所、収穫地からの1時間圏内に一次加工場を設け、鮮度にこだわっている。粉末するにも世界トップレベルの粉砕加工技術を持つセイシン企業(安来市)が近郊 にあるのも大きな強みになっている。この他県に類をみない鮮度保持加工システムが同社のオンリーワン企業を支えている要因だ。
また昨年、島根大学医学部と島根県との共同研究で桑葉に含有する抗動脈硬化作用がある抗酸化物質「Q3MG」の存在を発表。Q3MGとは、フラボ ノイドの一種で、血糖、血圧、コレステロールなどの低下や大動脈の動脈硬化抑制などの機能が確認されている新成分で、桜江町産桑に特に豊富に含まれている 事も判明した。同社は4月にQ3MGを含有としたドリンクを上市、一般普及型として県内を中心に販売を開始する予定。さらに同社は、Q3MGを科学的に抽 出するのではなく、Q3MG高含有の桑の栽培を開始しており、ワンランク上の健康志向食品の開発を進めている。
すでに医療ルートの開拓も進んでおり、安全性・体感性 ・信頼性そしてストーリー性も兼ね備えた桜江町の桑は、医療関係者からの信頼も厚い。今後同社は、さらに医者が勧める流通システムの確立を目指す。同社専 務取締役の古野氏は「桑の機能性は、群を抜いている」とし、薬事法等の規制に対応しながらも「薬になりえる一般食品」として認知されることを大きな目標と している。すでに糖尿病対応の一般食品も開発済みである。