2015.10.28 朝日新聞

血糖値の測定器と院内の電子カルテを連動させ、糖尿病患者らの血糖値管理や医療処置につなげる「血糖管理システム」を、鳥取大医学部(米子市)が産学協同で開発した。現在特許出願中で、鳥大発の開発として、全国の病院に売り込んでいくという。

鳥大医学部とソフト開発会社「イーベース・ソリューションズ」(米子市)が県の補助(約800万円)を受けて、一昨年から研究・開発を進めてきた。すでに鳥大医学部付属病院で入院患者向けに導入しており、先月中旬から電子カルテの更新を予定する中国地方の病院などに売り込みを始めた。

鳥大医学部によると、このシステムは、血糖値測定器に装着する「データ転送アダプター」、看護師が持つ米アップル社製iPod(携帯端末)に搭載する専用アプリ、電子カルテの管理ソフトからなる。

実際の運用では、iPodで専用アプリを使って患者の血糖値測定の日時を管理する。測定時間がくるとアラームが鳴るため、それに応じて測定器で測定。データ転送アダプターが作動し、iPod経由で電子カルテに測定値が記録される。血糖値が急変した場合は、患者に合わせた処置内容がiPodの画面に表示されるという。

鳥大医学部付属病院では通常、測定した血糖値は看護師がパソコンで入力するが、忙しい時間帯は入力が遅れ、入力ミスが起きることもあったという。研究・開発に携わった大倉毅医師(内分泌代謝内科)は「測定忘れも減らせ、看護師の負担軽減にもつながる」と話している。今後、患者自らが使用する家庭用測定器への応用を検討するという。