日本酒はダメだけれど、ウイスキーなら飲んでもいい。ピーナッツや山芋は食べても大丈夫。ハチミツの糖分は糖尿病によい――こんなふうに、みなさんは考えていませんか。一昔前は当たり前のように語られていた、「糖尿病の常識」です。しかしこれらの常識は、はたして正しいのでしょうか。

インスリンが発見されるまで、糖尿病の食事は糖質を含む食物を極端に制限したり、総カロリーを大幅にカットした食事でした。なぜかといえば、「尿糖を出さないために、尿糖の出やすい糖質を制限する」という考え方があったからです。糖尿病学が進んだ現在から見ると、過酷でとんでもない食事といえるでしょう。

「尿糖さえ出なければよい」。この誤った糖尿病の認識が、誤った食事療法を生み、前述のような誤った食生活の常識を広めてしまいました。しかし尿糖ではなく血糖値が問題になっている現在、食事療法に対する考え方は根本から変わっています。