2012年に厚労省がおこなった最新の調査では、日本の糖尿病患者は前回調査より60万人多い950万人で過去最多となった。

予備群は1,100万人、合わせて2,050万人と発表されました(概要発表は2013年)。

なんと全人口の16.1%が糖尿病患者かその予備群(血糖値が高めの人)となるのです。

40代でも10%近くが糖尿病か、その予備群であり、50歳代になると一気に20%に上昇し、60歳代では33%、70歳代ではなんと39.2%に上昇します。

50歳以上の日本人の4人に一人は糖尿病!これが日本の現実なのです。

 

 

(1)糖尿病予備群とは?

 

一般に糖尿病予備群とか境界型などと言われるグループがあります。これは血糖値が正常範囲を超えているが、糖尿病の診断基準に当てはまるほどには上昇していないグループを指し、血糖値の範囲で表しますと、空腹時血糖値が110~125㎎/dlで、食後血糖値が140~199㎎/dlの方を予備群と見ているようです。糖負荷試験という検査の結果によって判定されるもので、一般的には2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)の軽症型と理解して差し支えないでしょう。血糖の上昇はあっても軽度で、合併症も進展しにくく、薬剤などによる治療は必要ありません。しかし、生活習慣の改善を怠ると数年の内に発症してしまう恐れがあります。

 

(2)「境界型」から「糖尿病」へ

 

10年前の糖負荷試験で「正常型」と判定された人のうち、10年後に糖尿病に進んでいるのは4.8%であるのに対し、「境界型」と判定された方の場合は20~60%が糖尿病へ進んでしまいました(調査方法や年齢よってバラツキがあります)。

この事からも、「境界型」はやはり糖尿病の予備群であるといえます。境界型の人は血糖を下げる働きのあるインスリンというホルモンの分泌はあまり低下しておらず、むしろ分泌量が増えている人が多いようです。肥満、運動不足、アルコール摂取などによってインスリンの効きが低下し、それを補うためにインスリン分泌量が増えるものと考えられます。

インスリンの血中濃度が高いと高血圧や高脂血症を引き起こし、最終的に心筋梗塞や脳梗塞の原因となることもあります。またインスリンの分泌過剰が続くとすい臓のβ細胞の機能が低下してインスリンの分泌が悪くなり、糖尿病へと進行していくのです。

 

(3)糖尿病予備群は動脈硬化になりやすい?

 

日本人の死因の3割は、動脈硬化が原因で起こる心臓病や脳卒中が占めています。これらの病気では、命は助かったとしても、身体の障害などが残って動きが不自由になり、生活に支障をきたします。糖尿病予備群の人は糖尿病の人と同じように、動脈硬化が進行しやすくなっています。これには、血糖値がいくらか高いことのほか、高血圧や高脂血症、高尿酸血症などの動脈硬化の危険因子を一緒に持っていることが多いためです。糖尿病予備群を単に糖尿病になりやすいという視点でとらえるだけでなく、動脈硬化が進行しやすい状態と考え、血糖値とともに総コレステロール、尿酸値などに気を配り、できるだけ健康的な生活を心掛けてください。各種生活習慣病の原因は肥満や運動不足など、糖尿病とほとんど共通することですから、糖尿病を予防する生活は、それらの病気を抑える結果につながります。

 

(4)予備群から糖尿病にならないためには?

 

現在糖尿病予備群の人が糖尿病を発症しなければ、日本の糖尿病入口は確実に減少していきます。糖尿病の発症を防ぐためには?

 

一、肥満を解消する

  • 第一歩はダイエット、体重を標準体重にする。

*【身長(m)×身長(m)×22=標準体重】

 

二、食生活の改善

  • 身長や体重に合った適切なエネルギーをとる。
  • 栄養をバランスよく摂る。(緑黄色野菜を十分に、ミネラル・ビタミンを豊富に、糖質、脂肪を減らす)
  • 3食必ず食べ、間食はさける。

 

三、運動の習慣をつける

  • 習慣づけるためにも、まずは半年間続けることを目標としましょう。

 

四、ストレスを解消する

  • ストレスは血糖値上昇の大きな誘因のひとつ。お酒やたばこに頼らず、気分転換を図れる趣味を見つけましょう。

 

*あなたは糖尿病予備群?

あてはまる項目の点数を合計してください。

合計が8点以上なら要注意!生活習慣の改善が必要です!

① 血縁者に糖尿病の人がいる。(3点)

② 20代前半より体重が10%以上増えている。(2点)

③ 血縁者に肥満・脳卒中・心臓病の人がいる。(1点)

④ 甘い物や砂糖、あるいはご飯・めん類などが大好き。(1点)

⑤ 脂っこい物など、脂肪分を好んで食べる。(1点)

⑥ 食事の時間・回数が不規則、あるいは大食いをする。(1点)

⑦ 夕食のボリュームが一番多い、あるいは夜食を食べる。(1点)

⑧ 運動不足で車に乗ることが多い。(1点)

⑨ ストレスが多い。(せっかち、イライラなど)(1点)

*糖尿病に限らず、生活習慣病の多くが40歳を超えると発症しやすくなります。ただし、最近は糖尿病も10代、20代、30代で増えてきています。だから、決して40歳未満だから安心というわけではありません。糖尿病にかかってからでは遅く、やはり若い頃からの生活習慣が大切といえるでしょう。