2015年6月12日 朝日新聞

血糖値の指標、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が高い場合だけでなく低くても脳梗塞(こうそく)などのリスクが上がるという調査結果を国立がん研究センターなどのチームがまとめた。米専門誌に発表した。

HbA1cは直近1~2カ月間の血糖の状態を示し、6・5%以上は糖尿病の診断基準の一つ。

チームは全国約2万9千人(46~80歳)の9年間の経過を調べ、心筋梗塞や脳梗塞など心血管疾患になった935人を解析した。HbA1cが6・5%以上の人は、5・0~5・4%の人に比べ、心血管疾患になるリスクが1・8倍。逆に5%未満の低い人でもリスクが1・5倍と出た。

高血糖になると心血管疾患のリスクが高くなることは知られているが、低血糖がリスクを上げるとは考えにくいといい、低いHbA1cが血糖以外のリスクを高める要因と関係している可能性があるという。チームの東京女子医大の後藤温助教(公衆衛生学)は「HbA1cの値が低い人は、喫煙、高血圧などほかのリスクが隠れていないか調べてほしい」と話す。