1. シックデイルールとは?

糖尿病の患者さんがほかの病気になった状態をシックデイといいます。

糖尿病患者さんの場合は、日頃の風邪、下痢、腹痛などちょっとした病気も油断禁物です。特にインスリン治療や飲み薬を飲んでおられる場合は急激にコントロールが悪化したり、場合によっては昏睡に陥ったりすることがあります。そうならないようにする工夫がシックデイルールです。

 

*なぜシックデイルールが重要か?

体は病気にかかるといろいろなホルモンを出して、病気を克服しようとします。 病気になることによって増加する様々なホルモンは、血糖を上昇させ、血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンの分泌や働きも一時的に抑えてしまいます。そのことによってインスリンが慢性的に不足状態にある糖尿病の患者さんの体内では、インスリンの作用不足がいっそう進んで、血糖が上昇します。また、食事がとれなくなったり、発熱や下痢が続くと、脱水になって血液が濃縮されるので、これも血糖を上げることになります。

 

2. シックデイ時の基本的な対応の仕方

 

▲基本的な対応

 

①温かくして安静にしましょう。(糖尿病以外の病気を治すことが先決)

②下痢や嘔吐、高血糖、尿糖の強陽性が続く場合、改善の気配がない場合は、主治医に連絡をとって早めに対応をしましょう。

③血糖値(自己測定ができない場合は尿糖だけでもチェック)、尿ケトン体、体温、食事量をこまめにチェックしましょう。

④食事は普段通りに、水分は十分に、電解質(塩分、カリウム)もできるだけとりましょう。

 

▲治療法別の対応

 

①インスリン療法を行っている場合

インスリン注射はいつも通りに行います。病気の際はインスリン必要量が増加していることが多いので食べられないからといって自己判断でインスリンを中断しないようにしてください。血糖のコントロールができない場合は直ちに主治医に相談しましょう。

 

②経口剤を服用している場合

どれだけ食事ができたかで服用量が違ってきます。大まかに言うと食事量が半分の時は、服用量も半分に減らします。

 

③食事療法だけを行っている場合

食事はできるだけ普段通りにします。食欲が落ちたときは、食物を食べやすい形(めん類やおかゆなど)に変えたり、1回の食事量を少なくして食事回数を増やしてみるのもいいでしょう。食欲がないときの食物として、コンソメスープやみそ汁、スポーツドリンクなどがよいとされています。

 

*糖尿病患者が体調を崩してしまったときには、軽い症状のうちに対処するのが大切です。症状によっては血糖値を上げる場合と下がる場合とがあります。迷ったときには主治医に連絡し速やかに対処したいものです。

簡易血糖測定器があれば体調管理に便利ですよ。