糖尿病と言うと、最も恐れられているのが腎症・網膜症・神経障害などの「三大合併症」ですが、糖尿病患者はその他にも感染症に気をつけなければなりません。

感染症とは細菌やウイルスなどの微生物が体の中に侵入して増殖し、その結果として生じる病気です。糖尿病にかかるとなぜ感染症にもかかりやすいのでしょうか。

 

1.糖尿病患者が感染症にかかりやすいのは?

 

①血糖が高いと体の免疫力(めんえきりょく)が落ちるため、外から侵入してくる細菌やウイルスに対する抵抗力も弱ってくる。

②高血糖による全身の血流状態の悪化、神経障害などが原因で感染症が起こりやすくなりまた治りにくくなる。

③感染症にかかると血糖も上昇して、それによってさらに感染症も悪化するという悪循環に陥る。

 

2.糖尿病患者によく見られる感染症は?

 

尿路感染 膀胱炎、腎盂炎・腎盂腎炎など。男性よりも女性に多く見られ糖尿病性腎症を併発していると病気の進行も速くなる。
口腔内感染 虫歯や歯槽膿漏など。唾液の減少によって虫歯ができやすい環境になり、血流の悪化が歯周病を引き起こす。
呼吸器感染 風邪、肺炎、結核など。免疫力・抵抗力の低下により外からのウィルスや細菌が侵入するのを防ぐことができない。
皮膚感染 比較的に症状が軽いため放置しがち。やがて壊疽に進行することもあるので、十分な注意が必要。

3.感染症にかかったら?

軽い症状でも放置せず、早めに診察を受け治療しましょう。感染症が起こった場合、血糖値のコントロールのため一時的にインスリンを使用することもあります。食事についてもケース・バイ・ケースで、主治医の指示に従うようにしましょう。自己判断は禁物です。

 

4.感染症の予防は血糖コントロールから

 

若いのに歯周病の症状がひどい、膀胱炎をくりかえしている、水虫が治りにくい、おできができやすいという事で、血液検査をしてみたら糖尿病だったという人がたくさんいます。

血糖値が高いと感染症が重症化しやすく、重症の感染症のためにさらに血糖コントロ-ルが悪化するという悪循環が生じます。血糖値を良好にコントロールすることが、やっかいな感染症から身を守る最大の予防法です。また、バランスのとれた食事や適度な運動を通して体力をつけ、ストレスをためないなどの健康的な生活を常日頃から心がけるようにしましょう。