インスリンの不足は血糖値を上昇させるだけでなく、骨にも影響を与えます。

長らく糖尿病を患っている人は骨の健康状態にも関心を持ちましょう。


糖尿病患者に多い
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

骨の密度が減って骨がスカスカでもろくなり、骨折しやすくなる病気です。

加齢にともない誰でも骨がもろくなりますが、糖尿病の人ではそのスピードが早く、若いときからすでに最大骨量(ピーク時の骨の量)が少ないこともあります。また、食事療法をしていると、カロリー制限のため十分なカルシウム量を摂取することが難しいので、カルシウム摂取不足となりやすくなります。

その結果、血液中のカルシウムを補うために骨からカルシウムが溶け出し、骨量が減少する1つの原因になるとも考えられています

 

インスリン不足は骨量低下を招く

 

インスリンは血糖値を調節するだけでなく、骨の健康にも関与します。

 

  • 骨の新陳代謝を促す骨芽細胞の働きを高める作用

骨芽細胞にはインスリンを受けとる受容体があり、インスリンには骨芽細胞を増殖させる作用がありますが、インスリンが足りないと骨芽細胞は増えず、骨形成が低下します。

 

  • ビタミンDの活性化

ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進し、尿細管でのカルシウム再吸収を促進しますが、インスリン作用が不足するとカルシウム代謝は低下し、骨量を減少させます。

 

骨を丈夫に保つための工夫

 

  • 食事療法・・・カルシウム(牛乳やヨーグルトなどの乳製品)・ビタミンD(カツオ、ウナギ、干しシイタケなど)・ビタミンK(納豆や緑黄色野菜)の多い食品を積極的に摂るようにする。

 

  • 運動療法・・・運動の種類は、筋肉に負荷がかかるウエイトトレーニングやエアロビクス体操などが効果的。適度な運動は骨に刺激を与え、骨の内部の血行もよくなって、骨形成を盛んにします。しかし、いきなり強い負荷のかかる運動をすると骨折や関節障害の危険があるので、主治医の指示を受けましょう。

 

骨折を防ぐには、まず骨折の一番大きな原因である転倒を防ぐこと。糖尿病の人は網膜症や白内障で視力が低下したり、立ちくらみを起こしやすいといったことから、転倒しやすい状況にありますので注意が必要です。そして、常日頃から食事・運動療法を工夫し、骨を丈夫にすることが大事です。