糖尿病に成りやすい体質や性格ってあるのでしょうか?

人それぞれ、生まれ持った体質というものがあります。また性格も十人十色です。糖尿病を予防するのも治療するのも、自分の体質や性格をよく理解した上でおこなうのが重要です。

生活習慣を改善すれば2型糖尿病の8割は防ぐことが可能です。糖尿病体質を持っているからと悲観しないで、ぜひとも正面から立ち向かっていきましょう。

 

1.「糖尿病になりやすい体質」は遺伝する

 

親や身近な親類に糖尿病の方がいると、そうでない人に比べて糖尿病になりやすいのは事実です。糖尿病自体が伝染したり遺伝したりするのではなく、インスリンを作り出す機能が弱いなど、糖尿病になりやすい体質が遺伝するのです。糖尿病体質はおよそ60%の確率で遺伝すると言われています。しかしこの遺伝というのはあくまでも「素因」であって、直接的な原因ではありません。この「遺伝的素因」に食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレス、など様々な環境因子が加わってはじめて糖尿病が発症すると考えられています。

 

2.ストレスをため込みやすい人は要注意

 

強いストレスが持続すると、コルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンなど血糖値を上昇させるホルモンの分泌が盛んになり、インスリンの働きを邪魔してしまいます。また自律神経のバランスが乱れ空腹感を感じて暴飲暴食につながります。まじめで几帳面な人、頑固な人、内向的でおとなしい人、取り越し苦労の多い人などはストレスをため込みやすいタイプです。自分に合った上手なストレス解消法を見つけて、ため込まないことが大事です。

 

3.肥満と糖尿病は切っても切り離せない関係

 

肥満は糖尿病の誘因の一つです。この肥満もまた遺伝すると言われています。肥満になるとインスリン抵抗性が起こり、細胞が糖をうまく取り込めず、血糖値が下がりにくくなります。血糖値が上がると、膵臓からインスリンを大量に分泌することで血糖を下げようとしますが、最後には膵臓が疲れ果ててしまい、インスリン自体を分泌しなくなってしまいます。それに肥満の方はたいてい運動不足も絡んでいるので、糖分をますますうまく利用できず、血中にインスリンが溢れて、高インスリン血症を招いてしまいます。特に「内臓型肥満(かくれ肥満)」の方は要注意です。

 

4.日本人は糖尿病になりやすい!?

 

日本では最近40年間で、30~50倍と2型糖尿病が著しく増加しているのに対し、欧米では5~10倍と増加はしているものの、増加率は日本よりもはるかに穏やかです。

患者の実数を人口比にすると、日本では欧米の1.5~2倍になっていると考えられています。日本人は長年飢餓の苦しみに耐えて生活してきた上に、食べるものといえば穀物が中心の低脂肪低カロリー食が中心でした。

その結果、日本人の遺伝子には過剰摂取されたカロリーを処理する機能は要求されず、逆に、少ないカロリーでも体調が維持できるしくみが体に備えられたのです。そこに食の欧米化が進み、高脂肪や高カロリー食の大量摂取によって上昇する血糖値に、インスリンの分泌が追いつかなくなったため、糖尿病患者が激増してしまったということです。

このように日本人は、誰しも少なからず糖尿病にかかりやすい遺伝体質を持っているのです。ですから、“自分は大丈夫”という安易な考えは持たず、体質に打ち勝てるような生活をこころがけたいものです。

 

子供の糖尿病が激増中

 

1974年から1994年の間に、小児2型糖尿病はなんと10倍に増加し、中学生でも約2倍に増えています。もう糖尿病は大人だけの病気ではありません。これは非常に重大な問題で、小学生のころから2型糖尿病だなんて、合併症のことを考えると末恐ろしい気がします。

原因のほとんどは肥満にあります。だから、親はまず「子供の成長のためにはたくさん食べさせたほうがいい」とか、「少しポッチャリしているほうが健康的だ」といった考え方をやめましょう。

インスリンを打つから重い糖尿病、打たないから軽い糖尿病、というのは大きな間違いです。血糖値が高い時期が5年、10年と続くと、確実に例外なく合併症は進みます。このことに1型、2型の差は全くありません。事実、腎臓合併症進行は1型より2型がむしろ早いし、若年(学童期~高校時代)発症2型糖尿病の人は、高い割合で35歳までに失明や腎不全などの重症の合併症を起こしています。小児期・思春期は食欲が旺盛で、血糖コントロールが悪化しやすい時期ですから、糖尿病と診断されたら、親は決して治療を中断させないように気をつけてください。

 

△妊娠と糖尿病

 

糖尿病が妊婦に大きな影響を与えることは、あまり知られていないようです。

糖尿病がある妊娠では、母親、赤ちゃん双方に重大な問題が生じる危険性があることを是非知っておきましょう。

糖尿病がある妊娠には、「妊娠糖尿病」と「糖尿病合併妊娠」の二つがあります。妊娠糖尿病は妊娠により糖尿病が出たもので、出産後治ることが多いのですが、糖尿病合併妊娠は、既に糖尿病が発症した人が妊娠するもので、糖尿病が以前からあったのに、それを本人が知らずに妊娠するケースも少なくありません。この場合、胎児の発達にとって、一番重要な妊娠初期に、血糖値がかなり高くなっている可能性があり、とても危険です。