蚕粉末は医療用にも使えるバイオ素材
医療用にも使えるバイオ素材
絹糸は人の肌に近く、抗菌性もあることから既に外科手術用の糸として実用化されています。これ以外にもシルクの医療への転用は、様々な形で試みがなされています。
農水省の昆虫産業技術研究所(茨城県つくば市)では蚕のつくる二種類のタンパク質(フィブロインとセリシン)を利用して、血液が固まるのを防ぐ物質を生産する技術が開発されました。
蚕からつくる抗血液凝固剤が実用化されれば大幅なコストダウンが実現できることから非常に期待されています。
また皮膚の炎症や傷にはシルクフィルムが有効だとの研究結果も出ています。
じゅくじゅくした炎症の箇所にこのシルクフィルムを貼っておくと、シルクフィルムが炎症の液汁を吸収し非常に早いスピードで皮膚を再生するのです。
老人の「床ずれ」治療剤としての開発も進行中です。
蚕という生物がつくり出すシルクはこのようにすばらしい機能を持っています。
しかし蚕の有効成分はシルクだけではありません。生まれてから死ぬまで唯一、桑の葉だけ食べる蚕の体内には桑の葉の有効成分まで蓄積して含まれているのです。
ですからシルクだけでなく蚕全体を丸ごと健康食品として利用したいものです。