糖尿病ってどんな病気?

糖尿病患者の血糖測定
糖尿病患者の血糖測定

糖尿病とはその名の通り尿に糖が出る病気だということは誰でも知っています。しかし尿に糖が出ることイコール糖尿病とは言えないのです。

なぜ尿に糖が出たかという「原因」が問題なのです。

私たちが食事をすると、ご飯やめん類などの食べ物は口の中と小腸でブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は血液の中に入り脳や筋肉、脂肪などの細胞に運ばれエネルギーとして使われます。血液の中のブドウ糖の量を「血糖値」と呼びます。食後には誰でも血糖値が上昇しますが、膵臓から多量のインスリンが分泌され一~二時間ほどで普通の血糖値に戻ります。

ところが糖尿病の人は血糖値を調節できずに、高血糖の状態が続き尿の中にまで糖が漏れてくるのです。

血液1dl中に糖が一六〇~一八〇ミリグラムになると、腎臓の処理が間に合わず尿に糖があふれてしまいます。

尿に糖が出る原因は高血糖だけではありません。尿をつくる腎臓に異常がある人や、健康な人でも体調のよくない時、妊娠中などに尿に糖が出る場合があります。

したがって糖尿病というのは「尿に糖が出る病気」というよりは「血液中のブドウ糖が異常に多い病気」と言えます。糖尿病とは「高血糖病」なのです。

ですから糖尿病の検査としてはまず尿検査、そして血液を採取し血糖値を調べます。

しかし血糖値は食前と食後で大きく変化したり、その日の体調にも左右されるので、今ではHbA1cの測定が主流となっています。

Hbとは、赤血球の中にあるヘモグロビンのことで、このヘモグロビンは主に全身に酵素を送る仕事をしています。

血糖値が高い状態が続くと、ヘモグロビンとブドウ糖が結びついて徐々に「糖化ヘモグロビン(HbA1c)」に変化してきます。

HbA1cの割合を調べると、患者の過去一ヶ月から二ヶ月位前の血糖値の平均状態がわかるのです。

正常な人は四~六%位です。八%を超えていたら血糖値の状態に異常が発生していると考えられます。

糖尿病は様々な要因によって、全身の合併症を伴いながら進行します。

ですから糖尿病の検査や診察は慎重にしなければなりません。

血糖値だけを計って、高血糖だからといってむやみに血糖降下剤を服用すればいいというものではありません。細かい検査や過去の観察もなしに、すぐに血糖降下剤やインスリンを処方しようとする医師に対しては警戒しなければなりません。

糖尿病の診断では尿検査や血糖検査、HbA1cの検査のほかにも次のような検査をする場合があります。

 

血液中のインスリンの量を調べる

膵臓からインスリンが正常に分泌されているか、分泌のタイミングはずれていないかなどを調べます。高血糖の原因を探るには非常に有効な検査です。

 

Cペプチドの検査

インスリンがどれくらい分泌されているかを調べるためにはCペプチドの測定をします。Cペプチドの量は、膵臓で分泌されたインスリンの量と同じです。

Cペプチドは血液や尿を使って測定できますが、大体は一日分の尿を貯めてその尿の中に含まれるCペプチドの量を調べます。一日分の尿中Cペプチドの正常値は三十二~一二二μgです。

インスリン依存型の患者では二〇μg以下の場合が多く、インスリン非依存型の患者では正常値かそれ以上の値を示すケースもあります。

 

フルクトサミンの検査

血液中のタンパク質がブドウ糖と結びつくとフルクトサミンという物質になります。

フルクトサミンを調べると過去一~二週間前のおよその平均的血糖値がわかります。

HbA1cの検査では過去一~二ヵ月前の状態がわかり、フルクトサミンの検査では過去一~二週間前の状態がわかることになります。

フルクトサミンの正常値は二〇〇~二八五μmol/lです。この数値が高くなるほど血糖コントロールが悪い状態と言えます。

 

眼底検査

糖尿病の合併症のひとつに網膜症があります。

ですから糖尿病の疑いがある人や、糖尿病患者は定期的に眼底の検査をします。

 

尿中アルブミン、タンパクの検査

高血糖が続くと腎臓にも障害が出ます。腎臓の機能を調べるにはまず、尿中のアルブミンの量を量ります。微量のアルブミンが検出された時点で厳格な血 糖コントロールをすれば腎臓の進行をくい止めることができます。しかし尿に常時タンパクが検出されるようになるとその後は悪化するケースが多いようです。

 

腱反射のテスト

糖尿病では末梢神経が侵されるケースも多く見られます。

末梢神経に異常が生じると手足のしびれや痛みを伴う場合もあります。

神経障害の最も簡単な検査としてアキレス腱の反射を調べます。

ある医療機関の調査によると、糖尿病患者の四〇~五〇%にアキレス腱反射の消失がみられました。

 

空腹時血糖値 食後の血糖値
正常な血糖値 60~110 140未満
糖尿病の可能性大 126以上 200以上
境界線上の人 110~125 140~199